『詠草』とは和歌の草稿を綴じた練習帖のことで、樋口一葉が十二歳から晩年まで和歌を詠み続けた『詠草』は四十数巻にのぼります。立教大学図書館には樋口一葉自筆の『詠草』4冊が所蔵されており、その表紙には樋口一葉の戸籍名(奈津)をもとに「奈津子」「夏子」などの署名があります。
1895(明治28)年1月から『文學会』に分載された『たけくらべ』は、樋口一葉が生活苦のなか吉原遊郭近くに開いた雑貨店での経験をもとに、思春期の少年少女の揺れ動く思いが抒情的に描かれます。古典文学を思わせる独特な文体でリズミカルに読み進められる『たけくらべ』は、『詠草』で詠み紡いだ和歌がその基底にあったといわれます。
今回は立教大学図書館が所蔵している樋口一葉の『詠草』(自筆)と『たけくらべ』手稿(複製)を池袋・新座両館で展示します。早世女性作家が日々の中で見つめ、表し続けた文章の数々にぜひ触れてみてください。
2023年10月6日(金)~11月7日(火) 新座図書館1F
2023年11月15日(水)~12月15日(金) 池袋図書館地下1F展示コーナー